変化の時代に守り続ける看護の原点
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日頃より支部運営に関しまして、ご理解とご協力をいただき、心より感謝申し上げます。精神科医療を取り巻く環境は、社会情勢の変化や技術革新により大きく揺れ動いています。しかし、どれほど時代が変わろうとも、患者さんの尊厳を守り、その人らしさを支えるという看護の本質は揺らぐことがありません。日本精神科看護協会北海道支部として、私たちはその原点を大切にしながら、地域に根ざした質の高い精神科看護を実践するための取り組みを進めてまいります。その中でも、私たちが特に重視しているのが倫理的感受性の向上です。精神科看護は、患者さんの生活や人生に深く関わる専門領域であり、日々の判断がその人の尊厳に直結します。だからこそ、「このケアは本当に患者さんのためになっているのか。」「より良い選択肢はないのか。」と自らに問い続ける姿勢が欠かせません。倫理的感受性は、知識や技術と同じく磨き続けるべき専門性であり、看護の質を左右する重要な基盤です。
近年、AIをはじめとする技術革新が医療現場にも広がり、業務の効率化や情報管理の面で大きな力を発揮しています。しかし、どれほど技術が進歩しても、患者さんの心の揺らぎに寄り添い、言葉にならない思いを感じ取る力は、看護職にしか担えない役割です。精神科看護は、人と人が向き合い、関係を築きながら支える営みであり、AIでは代替できない価値がそこにあります。私たちはその専門性を誇りとし、次の世代へ確実に継承していく必要があります。そのために、北海道支部では継続教育の充実と他施設間の交流促進に力を入れてまいります。広大な北海道では、精神医療全般に共通した課題の他にも地域ごとに抱える課題や実践の工夫が異なります。だからこそ、学び合い、共有し合うことで、地域全体の看護の質を高めることができます。研修会や事例検討、オンラインでの交流など、多様な形でつながりを深め、互いの経験を力に変えていきたいと考えています。
今年度の重点項目は、以下のとおりです。
1.精神科看護職の人権意識を高め、倫理的感受性を磨くための教育活動を行う。
2.行動制限最小化に関する看護実践の知識・技術を向上させるための教育活動を行う。
3.精神科看護に携わる全ての者を対象に、少子高齢化・DX時代を見越した生涯学習を支援する。
これらをふまえ、新年度を迎えるにあたり、研修体系の多様化や会員のニードに応えるべく、さまざまな研修会を企画しました。多くの看護職および多職種の学びの場を有効に活用してもらうことで、組織・地域の活性化から精神科看護の質の向上につながり、「こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります。」という活動理念を実現するため、さまざまな困難にも立ち向かい、チャレンジし続けたいと思います。今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。 -
2026年4月
日本精神科看護協会北海道支部長 岩代 純
